審美歯科普及協会

歯についての豆知識

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医療経済とお口の健康

歯周病があると医療費が高くなる

2013年に香川県でまとめられた統計データによると、年間の医科医療費を歯周病の有無・重篤度別に見たところ、

 

・歯周病なし ……約14万5000円

・歯周病軽度 ……約39万7000円

・歯周病中等度……約43万6000円

・歯周病重度 ……約42万8000円

・無歯 ……約68万円

 

となっていました。

歯周病があるだけで、程度にかかわらず年間医療費が2倍以上、ほぼ3倍ちかくにまでふくれ上がります。歯を失った人にいたっては4.7倍です。

「2.歯を失うとどうなるか」や「歯周病と全身疾患の関係」で触れた事柄を考えれば当然といえることですが、歯周病があると全身疾患の有病率も高くなり、医療費も高くなります。

逆に言うと、歯周病を撲滅すれば医療費を3分の1、4分の1に抑えることも不可能ではないということです。

平均寿命と健康寿命には10年の開きがある

日本人の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳と男女ともに80歳を超え、世界的に見ても高い水準にあることが知られています。

この「平均寿命」に加えて、「健康寿命」という言葉があります。平均寿命が生存期間の長さをあらわすのに対し、健康寿命は「日常的に介護を受けたり、寝たきりになったりせずに生活を送ることができる期間」をあらわします。

よく言われる「ピンピンコロリ」という言葉があります。どういう意味かといいますと、年をとっても元気で矍鑠としていて、ピンピンしていながら死ぬときはコロリと死ぬということです。「人間、いつかは死ぬものだけれど、どうせ死ぬならそんなふうに死にたい」という死に方のイメージをあらわしています。これは、言い換えれば「寿命」と「健康寿命」の差がほぼゼロである形ということです。

ところが、現実にはなかなかそうもいかないということが、厚生労働省が発表した数字で示されています。平均寿命と健康寿命の差が、男性で8.84年、女性で12.35年もあるのです。

 

・男性 平均寿命:80.98歳 健康寿命:72.14歳 差:8.84年

・女性 平均寿命:87.14歳 健康寿命:74.79歳 差:12.35年

 

あくまでも統計的な平均値ですが、多くの人があまりQOLの高くない生活を送りながら晩年の長い年月を過ごしていることがうかがえます。2011年の厚生労働省中央社会保険医療協議会での報告によると、「ピンピンコロリ率」は5%程度にすぎません。

残念ながらこれが現実なのですが、しかし誰しもができるだけ自分の寿命と健康寿命の差がない方が良いと望むことでしょう。医療経済という社会的枠組みの観点からも、この差を縮めることは重要な課題となっています。介護保険制度発足以来、国と自治体はお年寄りが要介護とならないように生活指導・生活支援に取り組んできているため、平均寿命と健康寿命の差は少しずつ縮まってきてはいます。しかし、依然としてその差は8~12年。短いとはいえません。

 

健康寿命を延ばすという課題に対応する取り組みとしては、「介護予防」の考え方、およびそのサービスがあります。実際におこなわれている介護予防サービスの内容はさまざまで、すでに要介護となった人の要介護度を進ませないように支援するという趣旨のものもありますが、いずれにしても口腔機能を向上させ、維持することを目的としたケアは大きなウエイトを占めています。運動能力低下の防止とならんで、「ものを食べる・かむ・飲み込む」、「十分な唾液の分泌をうながす」、「会話する・言葉を発する」、「豊かな表情を出す」といった口腔機能を守ることも、QOLを高め、維持するためには重要なのです。

定期的に歯科健診を受けていると医療費が少ない

定期的に歯科の健康診断を受けている人の医療費は、受けていない人よりも安くなることがわかっています。これも2013年に香川県でまとめられた統計データですが、

 

・一度も歯科健診を受けていない人の年間医科医療費:46万円

・年に1回、歯科健診を受けている人:41万円

・年に2回、歯科健診を受けている人:38万円

・年に3回以上、歯科健診を受けている人:37万円

 

となっています。1年間に一度も歯科健診を受けていない人と、年3回以上受けている人との医療費には9万円もの差がついています。

歯科の健診を年に数回受けているということは、歯垢・歯石の除去をおこなうクリーニングはかならず受けているはずです。それは虫歯予防にも歯周病予防にもつながります。すでに記したように、歯周病予防は糖尿病を含む数多くの全身疾患の予防に結びつきます。定期的に歯科の定期健診を受ける人の医科医療費が安くなるのは当然のことです。

歯が少なくなるほど医療費は高くなる

これも「当然」と言うべきことですが、歯の本数が多いほど医科医療費は安くなり、歯が少なくなるほど医科医療費は高くなります。同じく2013年香川県のデータによると、

 

・歯が20本以上ある人の年間医科医療費:38万円

・歯が15~19本ある人の年間医科医療費:45万円

・歯が10~14本ある人の年間医科医療費:45万円

・歯が5~9本ある人の年間医科医療費:51万円

・歯が0~4本ある人の年間医科医療費:57万円

 

となっています。「歯が20本以上ある人の年間医科医療費」と「歯が0~4本ある人の年間医科医療費」との間の差が、実に19万円にも達していることがわかります。

「2.歯を失うとどうなるか」に記したように、歯が少なくなると、食べ物をよくかめなくなるため、消化するために胃や腸に負担がかかり、十分に栄養や健康成分を摂取できなくなることがあります。また、歯を失うとあまりかまなくても食べられる食品を知らず知らずのうちに求め、より多く食べるようになります。そうした食品の多くは糖質、炭水化物です。野菜や魚など、よくかむ必要がある食品の摂取量が減り、糖質の摂取量が増える傾向になります。さらに、よくかまないと満腹感がえられず、食べ過ぎてしまいがちになることも知られています。すると肥満しやすくなり、ひいては糖尿病など生活習慣病をまねくことになります。

この観点からも、歯を守ることは医療費の抑制につながることがわかります。審美歯科は、歯と口腔の健康を守るための高水準の技術を提供する予防医学です。是非関心を持っていただき、ご活用いただきたいと思います。