審美歯科普及協会

治療方法のご紹介

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「かぶせる」、「詰める」――さまざまな補修・再建技術

ラミネートベニア

ラミネートベニアは審美歯科の代表的な治療技術のひとつです。

紙でできたカードをうすいフィルムではさみ、加熱しながら圧着する「ラミネート加工」という技術があります。図書館など各種の利用者カードなどによく使われます。一方、「ベニア」といえば「ベニア板」が思い浮かびます。ベニア板は、断面を見ればすぐにわかるように、木のうすい板を何枚も重ねて接着してあり、そうすることで強度を高めるとともに湿気などによるゆがみを抑えています。

ラミネートベニアという治療技術は「うすい板を貼り付ける」という発想でベニア板に似ています。つまり、エナメル質の表面を0.5~2ミリほど削り、そこに同じくらいの厚さの人工歯シェルを歯科用の接着剤で貼り付ける技法なのです。女性の方なら、ネイルチップ(付け爪)に似たイメージと言えばわかりやすいでしょう。

ラミネートベニアをおこなえば、歯並び、歯の形、歯の色という3つの問題について一度に対応できます。その点ですぐれていますが、健康な歯の表面のエナメル質を削らなければならない点は欠点と言えます。また、虫歯の治療などにより、歯にすでに欠損があると削ることができず、ラミネートベニアを施術できないこともあります。このラミネートベニアの欠点をおぎなった新しい技法として、「ティーシーズ」、「ルミネアーズ」、「ダイレクトボンディング」といった技法があります。実はこれらの方がラミネートベニアよりも「早く」、「安く」、「無痛で」できるため、あらゆる点ですぐれていると考えられます。そういう意味では、ラミネートベニアという手法は時代遅れになりつつあるのかもしれません。

虫歯などによる損傷の補修も兼ねる技法

虫歯などの要因によって歯に損傷があるケースでは、損傷の度合いによって歯科的修復の方針は変わってきます。

①損傷がエナメル質まで、または象牙質の浅いところまで齲蝕の部分を削り、「詰め物」をする。

②損傷が象牙質まで達しているが、歯髄までおよんでいない歯冠が比較的大きく残せているケースでは「かぶせる、覆う」治療。
歯根が残せており、歯根骨がしっかりしていれば「差し歯」をおこなう。

③損傷が歯髄にまでおよんでいる歯髄を抜く「抜髄」をおこない、根管治療をほどこす。歯根骨がしっかりしていれば「差し歯」または「インプラント」で歯を再建する。
それぞれのレベルについて、審美歯科の観点から対応・治療の方法を紹介します。

インレー・「詰め物」をする治療

比較的軽度の虫歯などの治療では、齲蝕を削って殺菌などをしてから、詰め物をして患部を保護するとともに、かみ合わせの復元を目指します。

公的保険適用の詰め物として、昔からアマルガム、パラジウム合金、ニッケルクロム合金、金合金などが使われてきました。しかし、ちょっと口を開くだけで金属光沢が目立ってしまうもので、審美的観点からはいずれもあまり評価できるものではありません。くわえて、アマルガムには水銀の害、ニッケルクロム合金には金属アレルギーのリスクもあり、治療後の生活の質維持機能は高くないという問題もあります。
強度はありますが、長期的には変形し、歯と歯との間にすき間ができて虫歯が再発することもあり得ます。熱伝導が良いので、熱かったり冷たかったりする飲食物の刺激を過敏に感じてしまうこともあります。

金属インレーはこのように何かと問題が多く、審美歯科の観点からはおすすめできません。

白色の素材で詰め物をする

そこで最初から色の白い素材で詰め物をするという選択があります。コンポジットレジン、セラミック、ハイブリッドといった手法です。

  • コンポジットレジン充填法
    現在、もっともベーシックでポピュラーな歯科修復法と言えるのがこのコンポジットレジン充填法です。合成樹脂、つまりプラスチックで詰め物をします。保険適用ですので、安価で治療できます。色味を元の歯に合わせることができますので、治療跡が目立たず、審美的に有意義といえます。
     しかし短所もあります。まず、プラスチックですので摩耗しやすく、破損もしやすいのでかみ合わせ部分には使えません。また、素材に若干の吸水性がありますので、長期的には変色してしまいます。変形することもあるので、歯と歯との間に虫歯が再発する可能性もあります。
  • セラミック
    セラミックは審美的にはもっともすぐれた素材です。変色も変形もしにくく、耐摩耗性にもすぐれます。「割れやすい」とされますが、インレーの場合は割れることはまれです。ただ、保険適用外となりますので、高価です。
  • ハイブリッド
    セラミックにレジンを混合したものがハイブリッドです。長所・短所などの特性は、セラミックのそれらがわずかに「レジン寄り」になる感じです。割れにくさではセラミックを上回りますが、わずかに摩耗しやすく、変色もあります。保険適用外ですが、セラミックよりは安価です。

クラウン・「かぶせる、覆う」治療

エナメル質、象牙質を大きく削っても、支えになる歯根膜が十分な強度を持っていれば、「かぶせ物」、クラウンで歯を覆ってやる治療法が可能です。歯冠全体を再建する「全部鋳造クラウン」、目立つ前歯に向けた「前装鋳造クラウン」、金属を使わずレジンやセラミックで作る「ジャケットクラウン」があります。

全部鋳造クラウンは、前述の「インレー(詰め物)」の場合と同じように、安全性・機能性・安定性、そして審美性に問題がありますのでおすすめできません。

コンポジットレジンについても「インレー」と同様で、摩耗しやすい素材であるためかみ合わせ部分には不向きであり、変色の問題もありますので、やはりあまりおすすめはできません。

少し高価になりますが、セラミッククラウンがおすすめです。

前装鋳造クラウンについては、後で紹介するような「金属とレジン」、「レジンとセラミック」などの組み合わせがあります。

セラミッククラウン

セラミッククラウンは、歯の全体を1~2ミリの厚さで削り、そのうえにセラミックのかぶせものをかぶせる手法です。

セラミッククラウンには、「オールセラミッククラウン」と「メタルセラミッククラウン」のふた通りの方法があります。「オールセラミッククラウン」は文字通りセラミックのみでかぶせものを作る方法です。ただ、セラミックのみだと強度に問題があることがあり、この欠点をおぎなった方法が、金属のフレームにセラミックをかぶせる「メタルセラミッククラウン」です。

この治療法のメリットは、

  • 歯の色や白さを自由に変えられること
  • 治療後、変色や磨耗などが無く、長期間美しさが持続すること
  • 虫歯などにより失われた部分がかなり大きい場合でも行えること
  • ラミネートベニアによる治療法に比べ歯の形も大きく変えることができるので、ある程度までは歯並びやかみ合わせも整えることができること

デメリットとしては

  • 歯を削る量が多いこと

が挙げられます。

硬質レジン前装冠

内側は金属で、口を開いたときに見える前歯の表面を白いレジン(プラスチック)で覆ってあります。裏側からだと金属が見えます。

この治療法のメリットは、

  • 保険が適用されるため費用が安い
  • 内側に金属を使用しているので十分な強度がある
  • 表面は白いので前歯などの治療にも向いている

といった点です。

デメリットは、

  • 内側に金属を使用しているので、歯と歯茎の境目が黒く変色することがある(メタルタトゥー)
  • 歯の裏側から金属が見える
  • 金属アレルギーの方には使用できない
  • レジンなので長期間使用していると着色してくる

といったあたりです。

メタルセラミッククラウン

内側は金属で、表面をセラミックで覆ってあるもの。裏側から金属が見えます。

メリットは

  • 内側に金属を使用しているので十分な強度がある
  • 表面はセラミックを使用しているので着色汚れがつきにくく、仕上がりがきれい

 デメリットとしては、

  • 内側に金属を使用しているので、歯と歯茎の境目が黒く変色することがある
  • 歯の裏側から金属が見える
  • 金属アレルギーの方には使用できない
  • 内側に金属を使用しているので、光の透過性がない
  • 保険が適用されない

といった点があります。

硬質レジンジャケットクラウン(公的医療保険)

白い色をしたレジン(プラスチック)でできています。

メリットは、

  • 保険が適用されるため費用が安い(適応範囲は前歯・犬歯のみ)
  • 被せ物全体が白いので、前歯などよく見える部分の治療に向いている
  • 金属アレルギーの心配がない

点にあり、デメリットは、

  • 保険の適応範囲は前歯・犬歯のみで、奥歯には適応されない
  • レジンなので長期間使用していると着色してくる
  • 長期間使用するとすり減ってくることがある

といった点にあります。

「差し歯」で歯を再建する技法

虫歯の治療で削る部分が大きくなって土台となる歯根の強度が十分でなくなったり、神経と血管がとおっている歯髄まで抜いてしまっていたり(抜髄)しているケースでは、歯根部分に「コア」と呼ばれる棒をさし込んでクラウンの支えにします。この技法は一般に「差し歯」と呼ばれています。

コアに用いる素材により、審美的品位とコストが変わってきます。

メタルコア

金属製のものが「メタルコア」です。公的医療保険でカバーできるため、もっとも安価です。強度がありますが、反面、「くさび」効果により、かむ力で歯根骨の破壊を招いてしまうことがあります。また、半透明の白いクラウンに金属がすけてしまうため、審美的品位は低いものになります。

レジンコア

プラスチック製のレジンで作られたコアです。こちらも保険適用が可能です。強度はメタルコアにおよびませんが、白色であるため、メタルコアよりも審美性があります。金属アレルギーや、歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)の心配はありません。

ファイバーコア

プラスチックとグラスファイバーでできています。自由診療なので費用がかかりますが、光を通すので白く透明感があり、審美性と強度を兼ね備えています。また、メタルコアよりも歯根への定着性がよく、虫歯の再発や骨の破損のおそれがありません。メタルコアよりも自然の歯にちかい弾力性があることも、歯根骨を痛めにくい理由になっています。もちろん金属アレルギーやメタルタトゥーの心配もありません。