審美歯科普及協会

治療方法のご紹介

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公的保険適用の根管治療・再発リスクを抑える先進技術

最後に、公的保険適用の根管治療について、そして、再感染・再発リスクとそれを防ぐための技術について紹介します。

根管治療は保険適用になるのか

根管治療は虫歯や外傷などによる歯根根管の除菌・密封の施術ですから、傷病を対象とした社会保険の適用対象になります。根管治療にともなう診療行為ひとつひとつに定められた「保険点数」を合計して10倍した数字が歯科診療報酬の全額で、被保険者はその3割、70歳以上のお年寄りは1~2割を自己負担します。

保険適用の根管治療は、レントゲン撮影、神経を切り取る処置(抜髄)、消毒・殺菌のための薬剤を塗る処置、根管に殺菌剤を充てんしてコアとクラウンを設置する処置などを含みます。保険点数はこれらの診療行為の合計です。具体的に見ていきます。

診察料:1,000円程度

歯科クリニックを受診するとかならずかかる基本料金です。問題の歯を診察し、カウンセリングをおこない、どのような治療が必要かの説明をしてもらえます。

レントゲン撮影:1,200円程度

根管や歯根の先の部分などの状態を確認し、治療に必要なデータを得るためにレントゲン撮影します。全歯の状態を撮影するパノラマ撮影が多いのですが、ケースバイケースで個別の歯を撮影することもあります。この場合は1本につき200円ほどの費用になります。

神経を切除・抜髄:500~2,000円程度

菌に冒され炎症を起こしている歯髄を抜き取ります。根管の数は歯によって異なっており、その数に応じて費用が変わってきます。根管の数は、前歯では少なく、奥歯では多くなっています。

殺菌・消毒する処置:1,000円程度

保険適用の根管治療では、ふつう3~4回ほど通院して殺菌・消毒します。その回数分で1,000円程度です。ただし、この費用も根管の数によって変動します。

詰め物をする処置:1,000円程度

殺菌剤を詰めた根管を詰め物で密閉する費用です。これも根管の数で変動します。

保険適用の根管治療は以上のような診療をおこない、4回通院するとして、合計6,000円ちょっとという金額になってきます。

非常に高度なテクニックを求められる治療であるわりには、意外にも安く済むことがわかります。

ただし、前の記事で触れたような先進的な技術の数々は、保険適用の範囲ではほとんど選択できません。診断段階でのレントゲン撮影(2次元)をCT診断(3次元データ)に切り換えるだけでも、ほかの処置まですべて自由診療(全額自己負担)になります。

海外主要国では根管治療に6,000円の数十倍の費用がかかるのがふつうです。安い保険適用根管治療のおかげで、多くの虫歯が抜歯を免れているはずで、その点でやはり日本の社会保険医療制度はすばらしいのです。

しかし反面、その金額では歯科医の利益は非常に少なくなってしまい、良心的な歯科医が熱心な治療をおこなうと赤字になってしまうことすらあります。そのため、歯科医の多くは自由診療の充実した治療を勧めます。

保険適用の根管治療による治癒率は、根尖病変がある場合だと60~80%にとどまるというデータもあります。再感染リスクを下げたい、何度も治療したくないという患者さんが自由診療を選ぶケースが最近は増えています。

再感染・再発リスクを抑える技術

根管治療の流れを紹介した記事でも少し触れていますが、その補足と漏れた技術の紹介をします。(いずれも自由診療になります。)

マイクロスコープ

施術対象部位を数倍~十数倍ほど拡大する歯科用の大型顕微鏡です。保険適用では、もう少し簡素な拡大ルーペを使うことができます。

ラバーダム防湿

ラバーダム防湿は、根管治療の対象歯以外を薄いゴム製のシートでおおい、口の中の唾液などが治療部位に接触しないようにシールドしてしまう方法です。この方法により、口の中のさまざまな細菌が根管に侵入するのを防ぎ、無菌にちかい状態で処置を進められます。90%を大きく超える治癒率が期待できると言われていますが、日本で実施している歯科クリニックは今のところあまり多くありません。

NiTiファイル

根管治療では、炎症を起こしたり壊死したりした神経を除去するために「ファイル」という細いやすりを使います。ファイルは一般的にはステンレス製ですが、「NiTiファイル」、すなわち、「ニッケルチタンファイル」も使われることがあります。ステンレスにはない適度の柔軟性があり、根管を傷めることなく効率的に歯髄を除去できます。

EDTAと次亜塩素酸ナトリウム

上記のように、根管内の汚れはファイルでかき取っていきますが、その際にはどうしてもかき取ったカスが出てきます。このカスは当然のことながら菌のかたまりですので、根管内に残してはいけません。ところが、手で操作する器具だけではこの除去は困難で、多くの歯科クリニックでは除去せずに充てん殺菌剤に任せています。これでは治癒率が下がり、再発・再治療のリスクが高まります。
そこで、EDTAと次亜塩素酸ナトリウムという薬剤を用いてかき取りカスを溶解し、殺菌・消毒する方法があります。除菌の徹底により、再発リスクを低く抑えます。

MTAセメント

根管治療で重要なのは、クリーニングした根管の空洞をしっかりと密閉することです。すき間があると、再感染の原因になります。
保険適用の範囲内では「ガッタパーチャ」というゴムのようなものでふさぎますが、根管は構造が複雑ですので、どうしてもすき間が残りがちになります。
MTAセメントと呼ばれる特殊なセメントを使うと、根管はすき間なく密閉できるようになります。それ自体が殺菌作用を持ち、強い接着力と歯の再生を促進する効果がありますので、治療効果が高められます。

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