審美歯科普及協会

治療方法のご紹介

shutterstock_1038217888

日本人が歯について持つべき意識

北欧・スウェーデンでは、「80歳で21本」

日本では80歳の人の「自分の歯」本数は平均で15.2本であるのに対して、北欧のスウェーデンでは平均21本もあります。

いったい何がこのちがいを生んでいるのでしょうか。

北欧の人種は歯が丈夫なのでしょうか。それとも、歯科治療のレベルが高いのでしょうか。あるいは、制度のちがいがあるのでしょうか。

まず、スウェーデン人も日本人と同じ人間で、歯については人種のちがいから形状にわずかな差はあっても、同じ材質でできていますから特別に歯が丈夫ということはありません。

「治療のレベルが高い」については、すこし当たっているところがあります。スウェーデンには世界的にも最高水準の大学歯学部がありますし、現在使われている先進的な歯科診療技術のいくつかはスウェーデン生まれです。しかし、治療の技術的レベルということでは、全体的に見れば日本とスウェーデンとの間でそれほど大きなちがいはありません。

そして「制度」ですが、3歳から19歳までの青少年期の若者たちについては、歯科診療料は無料となっています。虫歯や歯周病の治療に限らず、矯正、定期検診、フッ素塗布などすべてが対象で、無料です。

しかし、20歳以上になると歯科診療料は有料になります。民間の歯科クリニックではかなり高額になることもあります。公的保険については、かつて一度歯科が給付対象から外されたことがあり、現在は復活していますが、保険補助される金額は少額にとどまります。つまり、おとなはほぼ自己責任で歯を守らなければならない制度になっているわけです。

そして、虫歯はともかく、歯周病はむしろおとなになってからの歯の疾患であり、食生活の変化やストレスなど外的要因でかかりうるものです。

しかしスウェーデンの人は高齢になるまで歯を保っています。ここで最初の疑問にもどってしまいます。日本とスウェーデンのちがいはどこにあるのでしょうか。

目標の置き方にちがいがある

端的に言うと、ちがいは「意識」の持ち方にあります。歯科医療の「目標」設定の仕方です。

日本では、歯科医療の目標は基本的に「悪いところを治すこと」に置かれています。つまり、「悪くなってから治す」のです。これは日本の国民皆保険制度が「病気やケガを治す診療行為に対して保険補助する」という考え方を基本としているからです。そのため虫歯になってから、歯周病になってからの診療行為については保険が適用されますが、定期健診、予防のためのフッ素処置、歯列矯正などは、特殊なケースを除いて保険適用外となります。

これに対し、スウェーデンでは「歯をできるだけ長く保つこと」に目標が置かれています。

日本の「悪いところを治す」歯科医療では、「虫歯になったから歯医者に行く」、「歯槽膿漏になったから歯医者に行く」という発想が基本です。悪くなったから行く。治して、また悪くなったら行く……ということです。

しかしスウェーデンでは、「悪くなる前に行く」という意識が一般に根付いています。「予防処置の重視」ということですが、保険補助が薄いおとなにも意識が根付いているということは、青少年期の予防的歯科診療体験が役立っているのでしょう。「若いうちに《一生持つ歯》を確立する」というよりも、「《歯を一生持たせる意識》を確立する」という意味合いが強いのでしょう。

その意識においては、「どこか悪くなってから歯医者に行く」よりも「悪くなる前に定期的に歯科健診を受ける」、そして「罹患する前に予防処置を行う」方が、痛みも苦しみもくらべようがないくらい軽く、費用も結局は大幅に安くなるという認識が確立され、広く共有されています。統計的に見ても、スウェーデン国民の9割以上が歯の定期検診を受け、クリーニングなどのメンテナンスを行っているのです。

こうした意識のちがい、歯科診療の目標設定のちがいがあるため、スウェーデンでは高齢になっても多くの歯が保てるのです。

日本でも、せめて「意識」を

そういうことであれば、日本でも若年期の無料歯科診療制度を導入すればいいのに……という考え方も出てくるかもしれません。しかし、日本は「病気を治す医療行為のうち、保険適用のものに保険を付与する」という考え方が公的社会保険の原則なので、検診、クリーニング、フッ素塗布など、「病気を治すわけではない」行為については基本的に全額負担の自由診療となります。この原則は日本の社会保険の根幹をなすものですから、なかなかゆるがせにはできません。

しかし、日本の医療も20年ほど前から「予防医学重視」の方向にシフトしています。「メタボリックシンドローム(メタボ)」を診断する特定健康診査・特定保健指導がはじまったのもその現れのひとつです。生活習慣病になる前に、その予備群と言える人たちに注意をうながし、予防しようという方針なのです。

歯科医療界もずっと昔から予防を呼びかけてきてはいます。しかし、国民の歯の健康レベルでスウェーデンに劣っていることは事実なのです。これまで以上に「できるだけ長く自分の歯を持たせる」という意識を取り入れる必要があります。

審美歯科が提供する診療技術は、すべて「できるだけ長く自分の歯を持たせる」という意識を具現化するものです。たとえば歯列矯正はかならずしも「見ばえ」のためだけではなく、かみ合わせの改善と虫歯・歯周病の予防にも大きく貢献します。もとより「悪くなったから治す」保険診療の考え方の枠から離れているのです。

意識を高く持ち、審美歯科を活用していただくことを切に願います。