審美歯科普及協会

治療方法のご紹介

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日本人の歯が置かれている現状2

歯を失えば健康レベルも下がる

大阪大学の前田芳信教授、池邉一典准教授らの研究グループによる研究が2015年8月に読売新聞で報じられています。奥歯をすべて失った高齢者を調査したところ、奥歯がそろっている高齢者にくらべて動脈硬化になるリスクが2倍に高まるとするものです。その理由として、同グループは、奥歯のない人は繊維質が多い野菜や、貝類、魚の干物といった、そしゃくを必要とするものや固いものを避ける傾向があるのではないかと推測しています。

また別の調査研究では、健康な70代の女性で、20本以上歯のある20人と、入れ歯を入れている20人を比較したところ、入れ歯を入れている人のほうに強い肥満傾向が認められるという結果が出ています。

さらに、総入れ歯の人はそうでない人にくらべて、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧などになりやすく、脳梗塞や心筋梗塞を発症したときに、症状が重篤化しやすい傾向にあるということがわかっています。

入れ歯は、どれほどうまく作られていたとしても、食べ物をかみつぶす咀嚼(そしゃく)能力は自前の歯にくらべて半分しかありません。そのため、入れ歯が多い人は知らず知らずのうちに固いものや繊維の多い食べ物をさけるようになってしまいます。抗酸化成分や食物繊維が豊富な緑黄色野菜、DHAやEPAが含まれる魚介類といった食べ物をさけるようになると、どうしても栄養的なかたよりが生まれます。このかたよりがボディブローのようにじわじわと健康に悪影響を与えるのです。

歯を失うと栄養摂取の傾向が変わる

70歳の男女1,000人を対象として行われた食品・栄養素の摂取調査によると、歯の咬合状態が「良好な人」、「良くない人」、「歯を失った人」でくらべたところ、緑黄色野菜、魚介類、ビタミンA、ビタミンC、食物繊維、EPA・DHAの摂取量が、「良好な人」に対し「良くない人」と「歯を失った人」ではすべてについて摂取量が少なく、とりわけ「歯を失った人」の落ち込みが大きかったことが示されています。

このように、歯を失うと摂取しにくくなる栄養素がある一方で、逆に摂取量が大きく増える栄養素があります。それは何かというと、「糖質」です。別の呼び方では「炭水化物」。ごはん、パン、うどんのような精製された穀物、お菓子などから摂取する糖類です。歯の本数が減ってしまうと、食事がやわらかいもの中心となり、自然と糖質の摂取量が増えるのです。

そうなりますと、メタボリックシンドロームや生活習慣病になりやすくなったり、助長したりと、健康を害するリスクが高まります。

そのことがただちに大きな病気に結びつくわけではありませんが、栄養にかたよりがある状態がつづいていると、ひとたび大きな病気になったときに、いっそう重篤化する傾向があります。

歯がないと認知症になりやすくなる

自前の歯が多く残っていたり、または歯をほとんど失っていても義歯を入れてかむ機能を回復していたりすると、認知症になりにくいことが明らかになっています。

「歯が20本前後ある人」、「歯をほとんど失っているものの、義歯を入れてかむことができるようになっている人」、「歯がほとんどなく、義歯を入れていない人」で認知症発症率をくらべたところ、「歯が20本前後ある人」と「歯をほとんど失っているものの義歯を入れてかむことができるようになっている人」との間ではほとんど差がなかった一方で、「歯がほとんどなく義歯を入れていない人」の認知症発症率はほかのカテゴリーの人たちの1.9倍にのぼりました。ほぼ2倍です。

逆にいうと、歯が多く残っているか、入れ歯・義歯でかむ機能を取り戻していれば、認知症になるおそれを半分にできるということです。

これは、年齢、所得、BMI、疾患、飲酒などのファクターを調整したうえでの一定基準期間内での発症率です。因果関係はさだかではありませんが、疫学的には「義歯であれ、歯があった方が認知症発症は抑えられる」と言うことができます。かむことで良い刺激が脳に伝わるということなのかもしれませんし、明るい気持ちで食事や会話ができることによる精神的影響もあるのかもしれません。
歯があれば認知症になりにくく、そのため、平均寿命と健康寿命の差を縮めることにもつながるのです。

歯を保ち、歯を取り戻すことが審美歯科のつとめ

以上で見てきたように、歯に問題があるだけで、健康レベルは大きく下がってしまいます。

日本人の平均寿命は男女ともに世界的に高い水準にありますが、歯の寿命はそれに追いついていないといえます。元気に暮らせる期間、健康寿命を延ばすためには歯と口腔の状況をより一層改善する必要があります。

審美歯科は、健康な歯を保ち、あるいは失った歯に代えて機能を回復する技術を高いレベルで提供します。審美歯科を利用していただくことによって、「人生100年時代」とも言われる日本の健康レベルは大きく向上するはずです。

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