審美歯科普及協会

治療方法のご紹介

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根管治療の正しい知識を・歯の構造と虫歯の進行

虫歯が歯の奥の方、血管と神経が通っている「歯髄(しずい)」を侵すところまで進行してしまうと、根管治療をおこなう必要があります。「抜髄(ばつずい)」といって、虫歯に侵された神経を抜き、きれいにそうじする処置です。

「神経を抜く」というと、何かおそろしいことをされるようなイメージを持たれるかもしれませんが、それは逆で、できるだけ長く歯を温存するための土台を確保する方法、歯を守るための技術なのです。大切な根管治療をこわがらずに受けられるように、正しい知識をおさえておきましょう。

歯の構造

まず、「歯」というものの構造を確認します。歯は大きく言えば3層構造でできています。「エナメル質」、「象牙質」、そして「歯髄」です。
見えている白い部分は「エナメル質」で、人体でもっとも固い部分であるとされます。しかし酸によって簡単に溶けてしまうという弱点があります。虫歯原因菌も糖を酸に変えて歯を溶かします。炭酸飲料でも歯は溶けます。小さい虫歯の侵食なら、唾液による再石灰化で夜眠っている間に修復されることもあります。歯茎よりも上に出ている部分を指して「歯冠」と呼ぶこともあります。

エナメル質の内側、2層目は「象牙質」です。歯冠の部分でエナメル質の土台となり、歯根の部分では歯茎の中に入り、歯全体を支えます。歯茎の中の象牙質は「セメント質」という薄い組織に覆われています。象牙質はエナメル質にくらべるとやわらかいため、よりいっそう酸の侵食に弱くなっています。「象牙細管」という細い管が多数通っており、組織液が浸透して歯に栄養をあたえる役割を果たしています。

象牙質のさらに内側にあるのが「歯髄」です。ここには血管と神経、そしてリンパ管が通っています。象牙質に栄養を供給しています。根管治療で、俗に「神経を抜く」と言われる「抜髄」で抜き取るのはこの部分です。

セメント質で覆われた歯根は「歯根膜」をはさんで歯槽骨に支えられます。歯根膜は歯と歯槽骨の間でクッションの役割を果たすとともに、組織細胞から浸潤する組織液によって歯に栄養をあたえます。

虫歯の進行

歯に対して、虫歯がどのように進行するかも確認しておきましょう。

虫歯(齲蝕・うしょく)は、ミュータンス菌やラクトバチラス菌などの虫歯原因菌が、糖を養分として代謝し、生成した酸によって歯を溶かすことで起こります。虫歯の進行の程度はC1からC4までの4段階で示されます。「C」は「カリエスcaries」の略です。C1の前に「CO」という段階もありますが、これは「白濁や着色が見られるため、要観察の歯である」ことを指し、「まだ虫歯になっていないが、なるかもしれない」という意味です。なお、COの「O」はゼロではなくてアルファベットのOです。

① C1・初期の軽度虫歯

歯の表層であるエナメル質が溶かされ(脱灰)、穴が開いている状態です。この段階では痛みはほとんどありません。歯にしみるという症状もあまりありません。

この段階の小さな虫歯は、菌のついた部分の歯を削って、金属やコンポジットレジンと呼ばれる樹脂の詰め物を充てんして修復します。

② C2・中等度の虫歯

エナメル質を抜けて象牙質まで溶解が進んだ状態です。エナメル質よりも象牙質の方がやわらかいので、歯の内部に空洞を広げるように侵食が進み、悪化が速まります。象牙質には神経が通っていませんが、象牙細管を通して冷たいものの刺激が伝わるようになるので、しみる症状があらわれます(知覚過敏)。虫歯原因菌の酸が象牙細管に浸透して神経を刺激し、痛みを感じさせることもあります。

この段階も、やはり菌のついた部分の歯を削り、除菌して金属やコンポジットレジンを詰めて治療します。

③ C3・重篤な虫歯

象牙質も抜けて歯髄にまで齲蝕が進んだ状態です。神経が通っているところが酸で溶かされるわけですから、強い痛みが生じます。象牙質よりもさらに弱い組織ですから進行も速く、できるだけ早く治療する必要があります。齲蝕のため神経が死んでしまうと痛みがなくなることもありますが、治ったわけでは決してありませんので、歯根にダメージがおよぶ前に治すべきです。

この段階なら、まだ歯を残せるのです。そのためにおこなうのが「根管治療・抜髄」です。歯髄を抜いて複雑な構造の歯根象牙質を除菌し、残った空洞を詰め物で充てんします。血管と神経を抜いても、歯根膜を通して歯には栄養が浸透するようになっていますので、歯は死にません。

④ C4・抜歯が必要になる虫歯(末期)

虫歯の最終段階では、歯冠がほぼなくなり、ほぼ歯根のみになってしまいます。歯根の先端、歯髄に通う血管や神経の入り口だった穴から菌が歯槽骨まで侵すこともあります(根尖病巣)。神経が死んでしまえば痛みは感じませんが、放置してなお進行すると血中に菌が移行して敗血症を起こすこともあり、まれとはいえ、死亡例もあります。

この段階では、歯を温存する治療は困難となり、多くのケースでは抜歯となります。抜歯後、部分床義歯、ブリッジ、インプラントなどにより義歯を再建します。