審美歯科普及協会

治療方法のご紹介

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痛くない! 今どきの歯科治療は進んでいます

 「歯医者さん」といえば、どうしても「痛い」、「こわい」というネガティブなイメージがつきまといます。ひどい場合には、子どもの頃に受けた歯の治療がトラウマになって、「歯医者恐怖症」と言っていい状態になる人もいます。
「歯医者を見るだけで胃のあたりがきゅーっと締めつけられるように感じる」
「歯をけずるドリルのキィーンという音が耐えられない」
……などなど、つらい痛みの記憶と結びついた恐怖感が心に染みついてしまっているわけです。

そして、なげかわしいことに、この恐怖感が歯の治療をついつい先延ばしにしてしまう理由になってしまうのです。
「まだそんなに痛くないからだいじょうぶ」
「ちょっと痛いんだけど、忙しいからしかたない」
……など、なにかと言い訳をつくって歯科受診を先延ばしにしてしまいがちです。そのあげく、あまりに痛いので勇気を振り絞って治療に行けば、歯医者さんに「どうしてもっと早くに来なかったの?」と責められる始末。

実際、虫歯にしても歯周病にしても、先延ばしせずに早め早めに受診・治療する方が、痛みも苦しみも、金銭的負担も小さく済むのです。にもかかわらず、その早め早めの受診をはばむのが「歯医者で痛い思いをする」ことへの恐怖感なのですから、実に悲しむべき矛盾です。

ですが、この矛盾を解決する方向はおのずから明らかです。
歯科治療を「痛くしなければいい」のです。
痛くしなければ、誰も歯科診療をおそれません。したがって、先延ばしもしません。

「痛くしない」ということ、昔はこれが技術的にむずかしかったのですが、近年の歯科治療技術は長足の進歩をとげており、ほとんど痛みを感じさせずに治療することがかなりの程度で可能になっています。

近年の歯科治療現場でおこなわれている無痛治療の技術・手法について、ご紹介しましょう。

まずは気持ちの面から・カウンセリングとインフォームドコンセント

前述のように、「歯医者=痛い」という思いは、第一には気持ちの問題です。場合によっては、おいおい紹介していく無痛治療技術のため実際には痛くないのに、心理的な思い込みで痛みを感じてしまうこともありえます。ですから、まずは治療の内容・方法をていねいにわかりやすく患者さんに説明することから、無痛治療は始まります。そうすることで、患者さんに治療に対して前向きな気持ちを持ってもらえると、無痛治療はよりいっそう有効になります。

歯科医師と患者、相互の信頼関係も大きな心理的ファクターです。信頼関係がなければ痛みを感じ、あれば痛みもやわらぐのです。そのためにも、歯科医師と良いコミュニケーションをとる機会は大切です。

また、それ以前に、いま現在は歯に問題をかかえていない一般の方々にも、「今どきの歯科治療は痛くないのだ」という事実を広く知っていただくことも大事でしょう。

無痛治療の技術・機材・手法

近年になって登場してきた数々の技術が無痛の歯科診療を可能にしています。主要なものをご紹介しましょう。

(1)極細針を使用する
痛みを抑えるために麻酔薬注入に用いる針の太さを、もっとも細い針にしています。「33G」と呼ばれる、太さ0.26ミリの極細針がよく用いられます。
また、針がない器具を用いることもあります。高圧ノズルを注入したい部位に密着させ、高圧の麻酔薬を噴霧して歯肉から経粘膜吸収・浸透させる方式です。これでも十分に効果的な局所麻酔になります。

(2)トリッジウォーマー
麻酔液の温度を人体の体温近くに保温して保管するシステムです。麻酔薬の液体が冷たいと、注入されたときの冷感が痛みとして知覚されることがあります。これを抑えるためのくふうです。

(3)表面麻酔
いわば「麻酔のための麻酔」です。歯茎の表面にゼリー状の表面麻酔剤を塗ります。こうすることにより、注射針を刺し入れたときの痛みを感じないようにします。

(4)電動麻酔注射器
麻酔薬を一気に注入してしまうと、その液体が周囲の細胞組織を圧迫して痛みを感じさせることがあります。そのため、麻酔薬はゆっくりと一定のスピードで注入する方がのぞましいのです。無痛治療では、コンピューターで制御された電動麻酔器を使用します。注入開始から緩やかに注入速度が上がり、組織の硬さに合わせて自動的に注入圧力が変化しますので、麻酔液を注入するときの圧迫されるような感覚を軽減することできます。
この電動注射器を用いず、手だけで注射器を操作して無痛麻酔をおこなう技術を持つ歯科医師もいます。

3通りの局所麻酔

ゼリー状の麻酔剤を塗る「表面麻酔」に対し、歯茎に針を刺して麻酔薬を注入する方式は「浸潤麻酔」といいます。

これらに加えて、「伝達麻酔」と呼ばれる技法があります。神経が枝分かれする手前の、知覚神経のおおもとの近くに麻酔薬を注射する技法です。おおもとのところから神経の末端まで麻酔が効き、広い範囲に長い時間しっかりと効果があります。親知らずの抜歯などに用いられます。

以上のような機材と技術により、今日では広く無痛歯科診療が可能になっています。また、テクノロジーだけでなく、ひとりひとりの歯科医師が手技をくふうし高めており、この面からも無痛診療が実現されています。