審美歯科普及協会

治療方法のご紹介

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義歯の究極形・インプラント

「インプラント」とは、骨の中に金属でできた人工的補強材を埋め込む治療法の総称です。複雑骨折の整復、人工関節などに使われます。歯科におけるインプラントは、差し歯よりももっと大がかりな処置として、あごの骨にチタンなどで作られた支柱を定着させ、その上に人工の歯を設置します。歯根まで完全に抜いてしまった歯の再建をおこなう治療法です。

天然の歯にちかい機能を取りもどすことができ、高いレベルの審美性も得られる、義歯としては究極の形ということができるでしょう。

インプラント治療の流れ

インプラントによる人工歯設置は外科手術をともなうもので、費用も時間もかかります。ここではインプラント治療のおおまかな流れを紹介します。

①カウンセリング・検査・治療方針策定
②フィクスチャー(人工歯根)、アバットメント(支柱)設置手術(1~2回)
③インプラント義歯の設置
④メンテナンス期

通しての費用と期間がどのくらいになるかは、患者の状態によって大きく変わりますのでいちがいには言えません。しかし最短でも3ヶ月ほどはかかります。たいていのケースでは半年以上、1年ちかくかかることもあります。費用もまたケースバイケースなのですが、1本あたり20~60万円くらいが目安です。もちろん基本的には自由診療となり、保険適用が認められるのは病気や事故であごの骨と歯を失ったケースに限られます。

① カウンセリング・検査・治療方針策定

何事も同じですが、まずは「相談」です。患者の希望と状態、歯科医の判断をすり合わせ治療方針を決めていきます。

失った歯の両隣がすでに神経を抜いてクラウンをかぶせているようなケースでは、クラウンをはずしてブリッジによる入れ歯をした方が安上がりですので、インプラントは選択しないこともあります。また、歯周病がある状態だとインプラント治療の成功率が下がりますので、「まずは歯周病を治してから、または高度に寛解させてから」という判断になることもあります。

あごの骨と歯槽骨に十分な骨量と骨密度があるかどうかの検査もおこないます。検査の結果、インプラントを回避しなければならないこともありますし、骨量を増やす治療をおこなってからインプラント実施という判断になることもあります。このように、患者の口腔の状況によって、処置の内容も変わったり付け加わったりする点には注意しましょう。

② フィクスチャー(人工歯根)、アバットメント(支柱)設置手術(1~2回)

インプラント人工歯は、歯槽骨に埋め込むチタン、またはチタン合金製の土台である「フィクスチャー」、そのうえに接続し義歯をささえる支柱となる「アバットメント」、そしてそのうえに設置される義歯(上部構造)の3つのパーツからできています。

フィクスチャーとアバットメントの設置には外科手術が必要になります。手術の進め方には、両者を一度に設置してしまう「1回法」と、2回にわけて設置する「2回法」のふた通りがあります。

1回法

人工歯根であるフィクスチャーと、義歯の支柱となるアバットメントを一度の手術で設置します。局所麻酔をしてからあごの骨を削って穴を開け、ボルトのような形をしたチタン製のフィクスチャーを挿入し、アバットメントを接続します。「ヒーリングアバットメント」という、骨が密着するまでの間の仮アバットメントを付けて歯茎を閉じることもあります。

手術が1回で済むため患者の身体への負担を小さくでき、費用も安くなる点がメリットですが、歯茎のうえにアバットメントが露出した状態でしばらく経過を見ることになる場合は、若干ながら菌感染のリスクがあります。

2回法

局所麻酔のうえあごの骨を削ってフィクスチャーを埋め込み、ここで歯茎を縫合してフィクスチャーを完全に密閉してしまいます。チタンと骨が密着するタイミングをはかってから、アバットメントを設置するための2回目の手術をします。歯茎をふたたび切開し、フィクスチャーの上端を覆うように形成された骨を削ってアバットメントを接続します。

手術の回数が2回となるため患者の身体的負担が重くなりますが、フィクスチャー設置後、いったん完全に閉じてしまいますので、菌感染のリスクは最小限になります。

骨を増やす手術

歯周炎による歯槽骨の破壊、抜歯後の骨吸収などが原因で、インプラントをおこないたい部分の骨量・骨密度が不十分になっていることもあります。そうしたケースでは、骨の表面の粘膜を持ち上げてつくったスペースに患者自身の骨などを移植する「サイナスリフト」、「ソケットリフト」や、人工粘膜を使って骨再生をうながす「GBR(骨誘導再生)」といった処置をおこなって、十分な骨量がえられるタイミングをはかってインプラントの術式に入る形になります。骨を増やす手術も1~3ヶ月かかります。

③ インプラント義歯の設置

ヒーリングアバットメントや一時的な調整用アバットメントを本式のアバットメントに交換し、いったん仮歯を装着して経過を見て調整したあと、最終的な人工義歯を装着します。義歯にもさまざまな素材のものがあります。のちほど解説します。

④メンテナンス期

人工義歯のインストールまでがたいへん長い道のりで、そこまで来ればゴールのような気もしてしまうのですが、インプラント義歯との付き合いは以後10年、20年の長きにわたります。すべてがうまくいったとしても、生体の一部としての歯ではなく、人工物なのです。定期的に状態をチェックし、必要があれば調整しなければなりません。

定期メンテナンスでおこなうのは、

  • 口腔内の衛生状態の確認
  • インプラントや人工歯の状態確認/li>
  • 周辺のほかの歯への影響チェック/li>
  • かみ合わせの確認と調整/li>

などです。

チタン製フィクスチャーは骨に覆われて密着していきますが、それには相応の時間がかかります。インプラント治療後、1年の間は3ヶ月間隔で、それ以降も6ヶ月間隔のタイミングで、インプラントを実施した歯科クリニックで定期メンテナンスを受けるようにしてください。

それ以外には、ふつうに毎日の歯磨きをすればいいのですが、金属製の歯間ブラシは人工義歯の部分には使わない方がいいでしょう。そのほかにも、使用する歯ブラシ、研磨剤、洗口液などについて制限があることもありますので、担当した歯科医師の指示にしたがうようにします。